定款自治の限界と株主間協定の限界

会社法になってから定款自治が広範に認められるようになったという印象がある。しかし、印象だけである。実際のところは、①会社法が定款自治を認めている場合に(つまり定款で異なる定めをすることを認めている場合)に、②その限度で、のみ認められるだけであるから要注意。ネットで検索すると以下の情報に遭遇した。

会社法の立法担当官は、会社法の規定は細心の注意を払って作られており、会社法に定めがある 事項につき定款で別段の定めができるケースはすべて明文で規定されており、明文の定めがない限 り定款により法律の定めを変更することは認められない4と主張している。

(引用元:https://core.ac.uk/download/pdf/70372537.pdf~定款規定の弾力的解釈の可否をめぐる問題 京都地方裁判所平成20年9月24日判決 判時2020号 155頁 Issue of the interpretation of the provisions of the Articles of Incorporation elasticity −Kyoto District Court, 24 September 2008− 清 水 正 博

 

具体的には、合弁会社で利害対立のある複数当事者が株主として併存し、その間で株主間合意書を取り交わす場合を想像してみる。ここで少数株主の株主総会決議事項に関する拒否権を規定してみる。会社法が要件を加重できるとしているものを加重して、全会一致が必要と定めたとしても基本的に問題はない(デッドロックをどう解消するかという別の問題が出てくるが)。しかし、これを緩やかにして、たとえば3分の2以上の賛成が必要なところを過半数でよいと定めてみる。これは認められない。「認められない」という意味は、法律上必要な決議があったとは認められないということであるから、決議は無効、これを前提とする行為も原則として無効ということになる。

優しいひとへ。その美しい瞳に。

母が亡くなったのが深夜未明。病院は亡くなった身柄の収容場所ではないから、速やかな退出を求められる。

東京に戻っていた私は、母の死に際には物理的には立ち会えなかったが、電話口で母に語りかけ、見送った。

間も無く諸々の話で病院に残っていた姉から連絡が入る。たくましい姉はこんな急変にも、見事に次から次に立ち上がる現実問題の処理に臨機応変に対応した。遺影の話にも及んだ。

生前の母曰く、私が送った写真を使って欲しいとのことだった。スマホで撮影したものだったから再現できないかという。送ったものが見当たらないらしい。早速データのバックアップを確認したが、何かの時に削除してしまったらしい。

とりあえず東京で行うべき作業を終えて実家に戻った。正確には姉の手配した葬儀場だ。深夜の連絡にもかかわらず遺体の搬送にも迅速に対応してくれたらしい。この葬儀場のことも母は姉に話していたらしい。このあたりにあって、家族葬にも対応してくれると。

写真が見つかっていた。電話の後、家で別の探し物をしていたら不思議にふと現れたという。

嗚呼、その写真をみて胸が熱くなった。私が撮った写真たち。数年前に実家に戻った際に立ち寄ったレストランで撮って送った。

オフホワイトの壁面と深い茶色の柱が高い天井を支える小洒落たレストラン。棚にワインの瓶が並ぶ。赤のラベルが目立つ。
母が身にまとっていたのは、真っ赤な長袖のカットソー。首にグレーのストールを巻き、ブローチで留めている。いつもの赤の口紅。

思わず感嘆した。なんとも美しい。背景の彩色になんとも映える。写真を撮らねば…

母は写真がまんざら嫌いではない。ちょっとしたポーズにも愛想よく応じてくれるお茶目な面と気前の良さがあった。

この時も、<母さん、撮りますよ〜>と言うとさりげなく写真用のスマイル😊

もう一枚、構図を少し変えて撮ってみた。

最初の一枚が母さんが選んだ写真。

これに私は<美しいひとへ>と書いたポストイットを裏に貼って送ったんだ。

他にも何枚か自宅で撮った写真など含めて送った。一枚一枚メモを貼った。

母が選んだ写真は、薄いサングラスをかけていて、実は目の表情はよくわからなかった。

葬儀場の方に遺影の製作をお願いしたらサングラスの曇りで見えなかった目の表情がきれいに再現されていた。そしてびっくりした・・

母の瞳はこの上もなく優しく、慈愛に満ちていた。

いつも外出時はサングラスをかけていた母。改めて理由を聞くことなどなかったけど、なぜだったのだろう?謎のままだ。その美しい瞳を隠して母は何と対峙していたのだろう。。

そして、母の前にいたのは、他のだれでもない、私。

母は私を、こんなにも優しい目で見ていた。そのまぎれもない真実の与える確信に、母の死後巡り会う。

写真とは、改めて思う、被写体の一瞬を切り取るものだと。そして被写体の美しさを知らなければ、美しい写真など撮れるわけがないのだ。

私は母の美しさを知っていた。

可愛らしさも、その機智に富んだユーモアも、機転も。

私は母をとらえていた。その計り知れない深さ、味わいを。

その瞳は今も私の前にいる。

たくさんの愛をありがとう。




母の生き様

母というかけがえない命が寿命を迎え、美しいあの造形が賛美歌の中で荼毘に付され、この物質世界から、この視界から永遠に消えてしまった。

片付けのセンスが光る人だった。収まりがなんともいい。頭のきれる人だった。
子供達は、この母の感性をみなそれぞれに引き継いでいる。

ただただ頭が下がります。

三人の子供たちの違いを、全て理解して抱擁していた。

あさ、母の遺影に頭を下げます。

今日も穏やかな笑みを浮かべて、私の前にいてくれます。

まだまだ咀嚼すべきことが残っています。

一つずつ一つずつ。

母がなくなって間も無く9月。







高倉健さんの死

母の好きだった高倉健さんの死。

今日、新宿高島屋にて文藝春秋を発見、高倉健さんの最後の手記が掲載されているとのことで開いてみる。

『往く道は精進にして、忍びて終わり、悔いなし』


母を想う。

乳がんと転移がん

転移ガンを、英語で、metastatic canser という。

米国の国立がんセンター(National Cancer Institute:NCI)のサイトで米国における標準的な周知情報を知ることができる。

http://m.cancer.gov/topics/factsheets/metastatic

以下は遷移順。

Find a cancer type>breast cancer (乳がん)>more information>metastatic cancer 

でたどり着ける。以下は抜粋。日本語はby milosophy。

Metastatic cancer is cancer that has spread from the place where it first started to another place in the body. A tumor formed by metastatic cancer cells is called a metastatic tumor or a metastasis. The process by which cancer cells spread to other parts of the body is also called metastasis.

転移癌の簡単な説明。がんが原発がんの発生場所から他の場所に広がったこと。

Metastatic cancer has the same name and the same type of cancer cells as the original, or primary, cancer. For example, breast cancer that spreads to the lung and forms a metastatic tumor is metastatic breast cancer, not lung cancer.

転移がんは、場所は違えど、原発がんと同じタイプで名前も同じ。例えば、肺に転移した乳がんは、転移乳がんと呼ばれるといったこと。

Under a microscope, metastatic cancer cells generally look the same as cells of the original cancer. Moreover, metastatic cancer cells and cells of the original cancer usually have some molecular features in common, such as the expression of certain proteins or the presence of specific chromosome changes.

顕微鏡で見ると、だいたい、転移癌は原発がんと同じ見た目をしている。もっと言えば、ある種のたんぱく質や染色体などが似たような特徴を持っている。

Although some types of metastatic cancer can be cured with current treatments, most cannot. Nevertheless, treatments are available for all patients with metastatic cancer. In general, the primary goal of these treatments is to control the growth of the cancer or to relieve symptoms caused by it. In some cases, metastatic cancer treatments may help prolong life. However, most people who die of cancer die of metastatic disease.

いくつかの転移癌は現在の治療法でも治るが、ほとんどの転移癌は治らない。もっとも、治療法を使うことができないわけではなく、一般に、主としてがんの成長をコントロールしたり、症状の緩和のために行われる。いくつかのケースでは、余命を伸ばすのに有効だが、がんで亡くなる人の多くは、転移癌で亡くなっている。


転移した癌は、がんもどきではない。本物の癌だ。命のカウントダウンが始まる。どうするかはこの認識から始まる。